世界の一流は「雑談」で何を話しているのか/日本人が苦手な「打ち解ける」「間を埋める」「盛り上げる」を世界の一流ビジネスマンはどうやっているのか?
■「雑談=無駄話」ではない
日本では、取引先との商談などを始める際に、本題に入る前のイントロダクションとして雑談を交わすのが一般的です。
天気の話に始まり、SNSで話題になっていることや、お互いの業界のウワサ話など、そのほとんどが「とりとめのない会話」です。
ビジネスマンは雑談を本題に入る前の「潤滑油」と考え、その場を和ませたり、無駄な緊張感を取り除いて、相手との距離感を縮めることを期待しています。
お互いの関係性を深めるのは大事なことですが、筆者は「それだけでは、あまりにももったいない」と考えています。
なぜならば、そこが「ビジネスの場」であるからです。
筆者が働いていたグーグルでは、「Let’s chat!」というフレーズが頻繁に飛び交っていました。
あえて直訳すれば、「雑談しましょう!」という意味になりますが、世間話や無駄話をするわけではありません。
アジェンダ(行動計画)が成立していない段階で、お互いのプランや課題をシェアして、
「どんなプロジェクトができるのか?」
「どんなアウトプット(成果)を目指すのか?」
「どこに問題があるのか?」
などについて、オープンで「ざっくばらん」な情報交換をすることが目的です。
■ 日本の雑談と世界の雑談は似て非なるもの
世界のビジネスシーンで、一流のビジネスマンが交わしているのは、日本的な雑談ではなく、「dialogue(ダイアログ)」に近いものです。
ダイアログとは、「対話」という意味ですが、単なる情報のやりとりだけでなく、話す側と聞く側がお互いに理解を深めながら、行動や意識を変化させるような創造的なコミュニケーションを目指した会話です。
彼らは明確な意図を持って目の前の相手と向き合い、「雑談」を武器としてフル活用することで、仕事のパフォーマンスを上げ、成果を出すことを強く意識しています。
日本のビジネスマンの雑談には、こうした戦略的な視点がスッポリと抜け落ちているのです。
雑談が苦手と感じている人の多くは、「目的のない会話」が不得意な人たちです。
どこに向かっているのかわからないような、ダラダラと長いだけの会話を毛嫌いしている人もいることでしょう。
視点を変えれば、無目的に何かをするのが不得意な人というのは、しっかりとした目的が定まっていれば、最大限に強みを発揮できる人たちだと思います。
明確な意図を持って相手に接すれば、苦手な雑談を武器に変えることができるのです。
本書では、雑談を社内や社外の人間関係の構築に活かし、仕事で成果を出すための考え方や実践法を徹底的に掘り下げて詳しくお伝えします。
世界のビジネスマンの雑談との向き合い方や、日本との考え方の違いを知ることは、雑談のスキル向上だけでなく、仕事のクオリティーを高めることに結びつきます。
■ 本書の構成
はじめに 日本人は「雑談」を世間話や無駄話と考えている
第1章 「世界」の雑談と「日本」の雑談
第2章 強いチームをつくる「社内雑談力」の極意
第3章 武器としてのビジネスの雑談
第4章 こんな雑談は危ない! 6つのNGポイント
おわりに リモートワークの増加が雑談の重要性を浮き彫りにした