『みぢかな妖精図鑑 ~13年前の奇跡から紡がれる妖精の世界。おばあちゃんの優しい言葉に導かれ、ありのままの自分で生きる自由な心を育む女の子と、夢と自然が織りなす奇跡の出会いの物語~』

『みぢかな妖精図鑑』は、著者が13年前に初めて妖精と出会い、その衝撃と感動を胸に描き始めた『アンとおじいちゃんの妖精図鑑』から続く、妖精のいる世界を丁寧に紡いだ絵本3部作目となります。今回の作品では、幼い頃におばあちゃんから「うちの庭に妖精がいる」と囁かれた記憶が、ひとりの女の子の心に深く刻まれ、彼女がその言葉を頼りに妖精を探し続ける姿が描かれています。物語は、ありふれた日常の中に潜む不思議な輝きを発見するための、夢の国のような妖精の世界への扉を開くものとなっています。

物語の主人公である女の子は、幼い頃からおばあちゃんの温かい言葉に守られながら、自然の中で自由に遊び、無邪気な心を育んできました。しかし、成長と共に現実の厳しさや周囲の期待に押しつぶされそうになる中で、自分らしさを失いかける自分に気づいてしまいます。そんな時、ふとした瞬間におばあちゃんの「うちの庭に妖精がいる」という言葉を思い出し、かつて感じた魔法のような世界への憧れが彼女の胸に再び灯ります。

そして、ある日、女の子は本当に妖精と出会うという奇跡を経験します。小さな妖精たちは、まるで自然そのものが命を宿しているかのように、光輝く姿で現れ、彼女を夢の国へと誘います。妖精たちの存在は、ただ幻想的なだけでなく、自然と深くつながり、ありのままの自分を受け入れることの大切さを教えてくれるものです。妖精は、彼女に「自然界と共鳴しながら生きることこそ、神様と繋がることだ」と告げ、現代社会に生きる私たちが忘れがちな心の豊かさや、本来の自分自身の輝きを取り戻すための大切なメッセージを伝えます。

著者は、妖精との出会いを通じて、人生は「心を殺してまで頑張る」ものではなく、ありのままの自分を愛し、自然と調和して生きることの尊さを説いています。あとがきに記された「人生って心を殺してまで頑張らないといけないことなんてないよ。ダサくてカッコ悪い自分を愛していけ。存在を消して溶け込む人ではなく、まぶしすぎて見えない人になれはいい」という言葉は、現代の子どもたちだけでなく、大人たちにも深い響きを与え、誰もが自分らしさを取り戻すための大切な指針となるでしょう。

本書は、単なる幻想的な物語に留まらず、読者にとって日常の中に隠された小さな奇跡を見つけ出すきっかけを提供してくれます。女の子が妖精たちと過ごすひとときは、まるで夢の中にいるかのような美しい時間であり、そこには現実の厳しさや忙しさから解放される、純粋な感動と癒しが溢れています。妖精たちとの交流を通じて、女の子は自分自身の心の奥底に眠る希望や、まだ見ぬ未来への期待を再発見し、そしてその輝きを取り戻していくのです。

また、物語は自然との共生というテーマも丁寧に描かれています。広大な森や、さざめく小川、季節ごとに色づく庭先の風景は、妖精たちの存在とともに、自然がもたらす豊かな恵みや、そこに住む生命の息吹を象徴しています。女の子は、妖精との出会いを通じて、ただ自然を感じるだけではなく、自分が自然の一部であり、その一部として大切に生きることの意味を学んでいきます。これは、現代社会において忘れがちな「自然との共鳴」というテーマを、柔らかくも力強いメッセージとして届けるものです。

さらに、物語の魅力を引き立てる要素として、著者が丹念に描き上げた美麗なイラスト集が巻末に収録されている点が挙げられます。妖精や動物たちの繊細で温かいイラストは、物語の世界観をより一層豊かにし、読者に視覚的な感動と癒しをもたらします。イラストは、ただ単に美しいだけではなく、妖精たちが伝えるメッセージや、女の子が体験する奇跡の瞬間を視覚的に表現しており、一枚一枚に物語のエッセンスが込められています。

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この『みぢかな妖精図鑑』は、妖精との不思議な出会いを通じて、現代に生きる私たちが本来持っている柔らかな心や、自由に生きる喜びを再認識させてくれる作品です。子どもたちに夢と希望を与えるだけでなく、大人もまた、日常の喧騒の中で見失いがちな大切な「自分らしさ」を取り戻すための、心のオアシスとなるでしょう。読後には、誰もが自分自身をもっと大切にし、ありのままの自分で生きることの素晴らしさに気づかされるはずです。

この作品は、ただ幻想的な物語として楽しむだけでなく、人生の様々な局面において「自分らしさ」を失わず、自由な心で生きるためのヒントを与えてくれる、まさに現代のバイブルとも言える一冊です。あなたもこの妖精の世界に足を踏み入れ、夢と現実が交錯する奇跡の瞬間を感じながら、自分だけの心の旅を始めてみてはいかがでしょうか。

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