暗黒の果実が解き放つ災厄と少年の覚醒――不運体質のセイジが掴むのは、冥界の血香を纏う“冥王の柘榴”。破滅か、救いか、その一粒が運命を変える――ガチバトル型ダークファンタジー開幕。

幼少期にうっかり迷い込んだ冥界から、〈冥王の柘榴〉を持ち帰ってしまった少年・セイジ。以来、彼を取り巻く日常には“凶事”が続き、友人や家族までも危険にさらされる不運体質へと変貌する。ある日、学校に突如出現した魔物との遭遇がきっかけで、セイジの胸に宿った赤い果実が覚醒。蟲を纏う異形の力が解放され、彼は自らの運命に抗うべく動き出す。

本作の鍵を握る〈冥王の柘榴〉は、古より冥界を支配した王の血を封じた禁断の果実。触れた者に強大な魔力を与える一方、世界を破滅へと導く禍根を残すと伝わる。セイジはその果実を媒介に、日常と異界が交錯する戦場へと足を踏み入れる。

1巻には、セイジの味方とも敵とも言えぬ謎の教師・麻城や、幼馴染のナツミといったキャラクターが続々と登場。特に麻城先生は、表向きは教壇に立つ傍ら、冥界の監視役として暗躍する影の存在として物語をかき乱す。彼らとの邂逅が、セイジの運命をさらに複雑に彩る。

第1話から第5話までの怒涛の展開では、セイジが冥界の入口へ急襲し、魔物たちと“ドンパチ”を繰り広げる場面が怒涛のテンポで描写される。ページをめくる手が止まらない、圧倒的なバトル描写と緊張感は、本作最大の魅力だ。

単行本は全198ページ・560ポイントで配信中。秋田書店〈少年チャンピオン・コミックス〉より、2025年2月7日に刊行された。電子書籍版はAmazon Kindleでも購入可能で、手軽にダークファンタジーの渦へ飛び込める。Renta!をはじめ各電子書店でも試し読みが充実しているため、気軽に冒頭の熱量を体感できるのも嬉しいポイントだ。

作家・菅野文が描くのは、冥界と人間界の境界を鮮烈に行き交う新世代ダークファンタジー。1巻ですでに張られた数々の伏線が、今後どのように回収されるのか。冥界の果実がもたらす混沌と、少年セイジの成長譚に大きな期待を寄せたい。