ひと口で「うらめしや!」──ほっこり幽霊食堂の大騒動!夜な夜なもののけたちが集う不思議なレストランで、ちょっと怖くて心温まる“絵本ならでは”のおもてなしが始まる、日本傑作絵本シリーズ最新作。

あらすじと魅力ポイント

夜が更けると、街は静まり返る――その路地裏に、ひっそりと佇む小さな扉。「もののけしょくどう」は、人間の目には見えない妖怪や幽霊たちが通う秘密のレストランです。ここでは、妖(あやかし)たちの好物である“おばけカレー”や“月夜パンケーキ”をはじめ、誰も知らない不思議なメニューが次々と振る舞われます。店主の妖狐(ようこ)さんは、照れ屋ながらも心優しい女性。「おいしい?」と差し出すその一皿には、陽の光にかざすと、ほのかな幽霊色のオーラが揺らめきます。

この物語の主人公は、人間の女の子・さき。夜道で迷い込んだ彼女は、あるきっかけでこの“もののけしょくどう”の秘密を知ることに。最初は怖がるさきでしたが、皿のふちにちょこんと寄り添う小さな妖精や、てんぷらが大好きな土蜘蛛(つちぐも)さんの優しさに触れ、やがて恐れよりも好奇心が勝っていきます。絵本全体を通して、不気味さと温かさが交錯する絶妙な空気感が魅力。怖がりなこどもも、大人もついついページをめくる手が止まらなくなる一冊です。

主な登場キャラクター

  • 妖狐(ようこ)さん:店主。尻尾のもふもふを気にしつつ、来店客には決して手抜きをしない心優しき料理人。
  • さき:好奇心旺盛な小学3年生。はじめての“もののけ”体験にドキドキしながらも、しだいに仲間の一員へ。
  • 土蜘蛛(つちぐも)さん:油もの大好きな大食漢。かき揚げを食べるまで黙っていられないおちゃめな妖怪。
  • 影おばけくん:ひそひそ話が得意なシャイボーイ。さきにだけこっそり悩みを打ち明けるシーンは胸キュン必至!

ストーリーの見どころ

  1. 異世界の“食体験”
    おばけの好物を人間の舌で味わうドキドキ感!夜空の色で変わるカレーや、幽霊がふわりと浮かぶクリームシチューなど、想像力をかき立てるユニークなメニューが満載。
  2. 怖カワイイ”イラスト
    少し不気味だけれど、どこか愛らしいもののけたちの表情が秀逸。絵のタッチは柔らかく、こどもでも親しみやすいデザインです。
  3. 友情と成長のテーマ
    さきが妖怪たちと心を通わせ、自分の“怖がり”を克服していく過程は、こども向けながらも普遍的な成長物語として胸に響きます。
  4. ユーモアとほっこりの融合
    お化けならではのハプニングが次々に起こる一方で、最後にはほっと温まるオチが待っています。読み終えたあと、ふわっと幸せな気持ちが残る余韻が魅力です。

制作スタッフとシリーズ背景

『うらめしや もののけしょくどう』は、日本傑作絵本シリーズの一冊として、こども向けながら大人も楽しめる内容が評価されています。著者・絵:山野りんこ氏は、これまでにも「おばけの学校」シリーズなどでユーモアとぬくもりを絶妙に組み合わせた作品を手がけてきました。本作では怪異を題材にしつつ、食を通じた“もてなし”と“出会い”を軸に、シリーズの新たな魅力を示しています。

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こんな人におすすめ

  • 幽霊や妖怪が好きなこども&大人
  • 少しふしぎでやさしいお話が読みたい方
  • 親子で一緒に“ちょっぴり怖くて温かい”読書体験を楽しみたい方
  • 読み聞かせにぴったりな絵本を探している保育士・絵本コーナー担当者

『うらめしや もののけしょくどう』は、夜の食堂を舞台に繰り広げられる、不思議で楽しい絵本ワールド。おばけたちとの出会いを通じて、怖さの向こうにある“やさしさ”と“好奇心”を伝えてくれる一冊を、ぜひ手に取ってみてください。

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