【壮大なファンタジー×知識×絆】 “本”は力、そして“言葉”は魔法――。禁書をめぐる陰謀が動き出し、仲間の信念が試される。真実と希望を胸に、少年が選ぶのは守るための戦いか、それとも赦しの物語か。シリーズ第9巻、開幕!
“本”を守ることは、“心”を守ること――。
『図書館の大魔術師(9)』は、知識をめぐる壮大な冒険ファンタジーの最新章。
物語は、図書館司書を目指す少年・シオラの成長と葛藤を中心に、ついに世界の「真の敵」が姿を現す激動の展開へと突入する。
前巻で明らかになった“禁書”の存在。
それは、かつて言葉の力で世界を変えようとした者たちが遺した危険な遺産だった。
そして今、その禁書をめぐって、各地の図書館国家と宗教勢力が動き出す。
書物の力を利用しようとする者、封印しようとする者――。
“知識は誰のものか”という永遠の問いが、再びシオラの前に立ちはだかる。
仲間たちとの信頼を深めたはずのシオラだが、新たな任務の中で次々と試されるのは、「信じることの重さ」だった。
仲間の一人が裏切りの疑いをかけられ、真実を知るために禁忌の地へと向かう彼。
だが、その旅の果てで彼が見たのは、敵も味方も、同じ“知を愛した者たち”の姿だった。
戦いの中心にいるのは、かつて「大魔術師」と呼ばれた伝説の司書。
世界を支配したのは力ではなく“言葉”だった――その理念を掲げた男の過去が、9巻でついに明かされる。
彼が守ろうとしたのは、書物そのものではなく、人が“読む”という行為の尊厳。
その思想は、シオラの運命を大きく変えていく。
ページをめくるごとに描かれるのは、壮麗な図書館都市、燃え上がる書架、そして静謐な光に包まれた古文書の間。
細やかな描線と幻想的な世界観が、まるで一冊の“生きた書物”のように読者を包み込む。
魔法ではなく「知識」が世界を動かすというテーマは、現代にも通じる深い示唆を放っている。
やがてシオラは選ばねばならない。
知識を封じるか、それとも解き放つか。
守るために戦うのか、それとも赦しによって救うのか。
『図書館の大魔術師(9)』は、シリーズ最大の転換点。
友情、理想、そして“読むこと”の意味を問いかける、静かで熱い物語が展開される。
この世界にあるすべての本は、誰かの想いでできている。
そして、その想いを繋ぐのは“読む者”の心だ。
――言葉は、まだ終わらない。