第21回R-18文学賞友近賞受賞作家・古池ねじが贈る、愛を問う物語。『身代わりの贄はみなそこで愛される』2025年1月20日発売!――秋の満月の夜、娘は神に嫁ぐ。―― 店舗購入特典も公開!

三百年に一度、秋の満月の夜。湖に住む神に「一番美しい娘」を花嫁として捧げなければならない。

そんな伝承がある湖のほとりの村で生まれた、双子の姉妹・宵(よい)と環(たまき)。

姉の宵には、生まれつき顔に青い痣があったため、妹の環が「神の花嫁候補」に選ばれた。誰からも愛される娘に育ち、その運命を哀れまれる環。逆に虐げられて育つ宵。だが、彼女たちが十六歳になったとき、環に恋をした男の策略で、実際に神に「花嫁」として捧げられたのは、宵だった。湖に沈められ、死を覚悟した宵。しかし彼女が水底で見たものは、美しい水色の瞳を持つ神様と赤子、愛猫がいる、閉じられた静かな優しい世界だった。そこで穏やかに暮らし始めた宵は、ある日水面の向こうに、助けを求めて自分を呼ぶ環の顔を見る。

そして「村が水没する」ことを、それを仕向けたのが目の前の優しい神様であることを知り――。

ことのは文庫編集部によるおすすめポイント!

◆虐げられた少女が強き者の愛に支えられ幸せになる、王道の和風シンデレラストーリー。

神が、贄として送られてきた少女を「妻」にするという王道のシンデレラストーリーが主軸となる世界観。絶対的な味方を得る安心感と、裏切られることのない極上の愛情を注がれる幸せをたっぷりと味わえます。

 

◆正反対の立場の少女2人が、それぞれ「人間」として成長していくヒューマンドラマ。

痛みしか知らない、自分の存在価値を知らない少女が、少しずつ「人間」として再生していく物語でもあり、もう一人の愛されること・優しく労わられることしか知らず「未来の神の花嫁」という存在価値しかなかった少女が、痛みや苦しみを知り、こちらももう一度「人間」として成長していく。正反対の立場の少女2人が織りなす、切ない関係性の物語としても楽しめます。

 

「もし、疲れて何もしたくない気持ちになっていたら、この物語を読んでみてほしい」「思わず心があたたかくなった」「続編希望」など感想続々!一足先にNetGalleyでゲラをお読みいただいた方の感想や応援レビューをご紹介いたします。

双子に生まれながら蔑まれてひっそりと生きてきた宵。その境遇には心が痛くなります。

痣がなく美しい環の方は生贄にならないといけないから、という理由で大切にされているのも何だか村の人間の後ろめたさの裏返しみたいでモヤモヤしました。

そして生贄になる16歳になってしまって……。

無理やり生贄の身代わりにされた宵は悲しかっただろうな。でも、水鏡さまは優しいし、赫天は楽しく明るくて、鈴は可愛く癒される。宵にとってはここが居場所でここから幸せになって欲しいと思いました。

あんなに辛かった村のことを気にかける宵の慈悲深さに感動しました。根っからの悪人がいないことが宵の心を動かしたんだろうな。

水鏡さまと恋をしてみたりお琴を弾いてみたりこれからの宵の温かい暮らしに笑顔が溢れるといいな。

(書店関係者様)

ある湖のほとりで生まれた双子の姉妹 宵と環。

そっくりな双子なのに姉の宵には顔に痣があることで虐げられ、環は美しい娘として誰からも愛される。

環が神への花嫁として捧げられるはずだった。だが捧げられたのは姉の宵であった。

宵は湖に沈められ、水底で美しい神と可愛い猫と出会う。そこから始まる穏やかな日々はまさに和風シンデレラストーリーだ。

だが地上にいる環はとんでもない状況に追い込まれる。

宵は痛みを知っているからこそ、環を放っておくことは出来なかった。

同じ顔をしているのに、ただ痣があるだけで地上では全く扱いが違った。だが双子だからこそ通じるものがあった。

宵が見た水底の世界はとても美しい。水底の優しい神の水鏡は最初は気まぐれのように宵に手を差し伸べたが、宵の心の美しさに触れ心が変化していく。

もうじれったいほどの宵と水鏡の恋模様も可愛い。火の国の赫天の成長していく姿ももっと追っていきたい。この物語がさらに続いていくことを願っている。

(レビュアー様)

宵と環、ふたりの双子の姉妹は残酷な運命を背負い生まれてきた。

神から守られ、豊かに暮らしていた村人たちは、生け贄になる娘を愛で、選ばれず生き残る娘を何年も虐げた。そして彼らも、娘の家族と同様に心に余裕を持てず苦しんでいた。

人は何故、失ってからでないとその存在の大切さに気付けないのだろうか。いや、例え失ったとしても、それから目を背けてしまうのだろうか。

本作では、人の弱さや醜さとともに、あたたかさや美しさも描かれている。

生け贄になった娘を取り合うような神達の姿が微笑ましくて、ふふっと笑いながらあっという間に読み終えてしまった。

もし、疲れて何もしたくない気持ちになっていたら、この物語を読んでみてほしい。嘘笑いをしながら過ごし乾いてしまった心を、やさしく潤してくれるはずだから。

(教育関係者様)

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ことのは文庫
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身代わりの贄はみなそこで愛される

著:古池ねじ/イラスト:篁ふみ

https://kotonohabunko.jp/detail/minasoko/

発売日:2025年1月20日

定価:781円(本体710円+税10%)

ISBN:9784867166987

著者情報

古池ねじ(こいけ・ねじ)

2018年『木崎夫婦ものがたり 旦那さんのつくる毎日ご飯とお祝いのご馳走』(富士見L文庫)にてデビュー。

2022年、「いい人じゃない」が第21回女による女のためのR-18文学賞友近賞を受賞。

ほか、既刊として『京都烏丸のいつもの焼き菓子 母に贈る酒粕フィナンシェ』『ドーナツ屋の夜のつれづれ』(ともに富士見L文庫)がある。

篁ふみ(たかむら・ふみ)

イラストレーター・漫画家。

コミック作品に『ブラック社員の転生先はDom/Subユニバースの世界でした』(原作・栗城偲/新書館・ディアプラスコミックス)、『今夜、君は僕のものになる』(原作・井上美珠/プランタン出版・オパールCOMICS)等。

書籍装画担当作品に『意地悪な母と姉に売られた私。何故か若頭に溺愛されてます』シリーズ(著・美月りん/富士見L文庫)、『運命の恋人は期限付き』シリーズ(著・小鳩子鈴/メイプルノベルズ)等がある。