あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。(スターツ出版文庫)あの星が降る丘で、本に導かれて 好きな人に、忘れられない過去の恋があったら、それでも思いを貫けますか?
静かな田舎町にある「ひかり書房」。そこは、町の人々がふと立ち寄る、小さな本屋だった。
高校生の蒼真(そうま)は、幼なじみの美咲(みさき)を思い出していた。小さい頃、毎年夏になると一緒に秘密の丘へ行き、夜空を見上げては「また来年も一緒に見ようね」と約束していた。だが、美咲は突然遠くの町へ引っ越してしまった。それ以来、連絡も取れずにいた。
「……会いたいな」
そんな思いを抱えたまま、蒼真はひかり書房へと足を踏み入れた。店内を歩いていると、一冊の本が目に留まる。タイトルは——『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』
なんとなく引き寄せられるように、蒼真は本を手に取った。
物語は、幼い頃に離れ離れになった少年と少女が、星降る丘で再び出会うというものだった。まるで、自分たちの物語のようだと思いながら、蒼真は一気に読み進めた。そして、物語の最後に書かれていた言葉に、心が震えた。
「また会いたいと願うなら、きっとその想いは届く——」
蒼真は本を閉じた。美咲も、同じように自分を思い出してくれるだろうか。
——そのとき、店のドアが開いた。
「……蒼真?」
振り向くと、そこに立っていたのは、美咲だった。
「嘘だろ……美咲?」
美咲は少し照れたように笑いながら、手に持った本を見せた。タイトルは——『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』
「私も、この本を読んでたら……なんだか、会いたくなっちゃって」
本が導いた、奇跡のような再会。
二人は目を合わせると、同時に微笑んだ。
「ねえ、久しぶりに——あの丘に行ってみない?」
本がつないだ物語が、また新しいページを開こうとしていた。