DVから子どもの安全を守るSafe&Togetherモデル入門は、母親非難を終わらせ父親の行動変容を促す画期的な一冊。加害責任を明確にし、被害親子の絆を支援する新しい守り方を提示する、対人支援職必読の書。

家庭という閉ざされた空間で、暴力の影に怯えながらも必死に子どもを守ろうとしている親がいます。しかし、これまでの支援の現場では、往々にして「なぜ逃げないのか」「守り方が不十分だ」といった過酷な母親非難が繰り返されてきました。守られるべき被害者がさらに追い詰められるという、この不条理な連鎖を断ち切るために誕生したのが、世界中で導入が進む「Safe&Together」モデルです。本書は、その革新的な視点を日本の読者へ向けて丁寧に紐解いた、希望と正義の入門書です。

本書の核心は、算用数字で示された具体的な3つの柱にあります。それは、子どもの安全を守ること、被害親とのパートナーシップを築くこと、そして何より「加害者の行動」を介入の焦点に据えることです。これまでの支援が「母親がいかに守るか」ばかりを問うていたのに対し、本書は「父親がいかに危害を加えているか」という根本的な加害責任を問い直します。この視点の転換は、支援者にとっても、そして今まさに苦しんでいる当事者にとっても、暗闇に差し込む一筋の光のような救いとなります。

実際に本書を読み進める際の使用感として強く感じるのは、これまでの固定観念が音を立てて崩れ、新しい支援の地図が描き出されていくような感覚です。200ページを超える内容には、具体的なケーススタディや、加害者のパターンを分析する手法が豊富に盛り込まれています。専門職の方にとっては、面接やアセスメントの質を劇的に変える実戦的なガイドとなり、当事者の方にとっては、自分が受けてきた不当な評価を払拭し、自尊心を取り戻すための心の支えとなるでしょう。

また、本書は子どもの視点を最優先に考えています。DVが子どもに与える影響を深刻に捉えつつも、被害親と子どもの「絆」こそが、回復のための最大の資源であると説いています。加害者によって引き裂かれそうになった親子の繋がりを、支援者がいかに尊重し、強化していくか。そのための具体的な言葉かけやアプローチの一つひとつが、読む者の胸を熱くさせます。

社会全体が「加害者の行動」を注視し、被害者を孤立させない文化を作ること。本書を手に取ることは、その大きな一歩に参画することを意味します。支援のあり方に悩み、無力感に苛まれている方こそ、本書に記された「共に安全を守る」ための知恵に触れてみてください。

読み終えたとき、あなたはきっと、暴力に立ち向かうための新しい強さと、親子を温かく包み込むための真の優しさを手に入れているはずです。誰一人として取り残さない支援の形を、この1冊から始めてみませんか。痛みを希望に変え、子どもの未来を確かなものにするための知恵が、ここに凝縮されています。