1億6千万円の失敗から夫婦で復活! 60歳からのFX「自然道」穏やかな投資生活への秘訣

本書「FX自然道シリーズ」は、定年を迎え、豊かなセカンドライフを夢見てFX投資の世界に足を踏み入れたものの、わずか2年間で1億6千万円もの巨額の損失を出してしまった夫婦が、いかにしてその絶望の淵から這い上がり、再び穏やかな投資生活を取り戻したのか、その「秘訣」を詳細に綴った一冊です。

人生の黄昏時に訪れた思わぬ試練。著者の高田さんは、会社員時代に培った知見と、これまで培ってきた人生経験を活かし、退職金を元手にFX投資を始めました。しかし、市場の厳しさ、そして自身の傲慢さが、瞬く間に資産を蝕んでいくことになります。当初の潤沢な資金は、あっという間に消え去り、やがては借金を抱えるまでに。夫婦関係も悪化の一途を辿り、精神的にも肉体的にも追い詰められていく日々が続きました。

しかし、この本は単なる失敗談で終わるものではありません。むしろ、この絶望的な状況からの「復活劇」こそが、本書の真髄です。高田さんご夫婦は、なぜ自分たちは失敗したのか、何が間違っていたのかを徹底的に分析します。そして、そこから導き出されたのが、「FX自然道」という独自の投資哲学でした。

「FX自然道」とは、相場の動きに逆らわず、自然の摂理に身を委ねるかのように、冷静かつ着実に利益を積み上げていく投資手法を指します。具体的には、短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、より大きなトレンドを捉え、その流れに乗ることを重視します。感情に流されやすい人間の性分を理解し、いかにして感情を排除した客観的な判断を下すか、そのための具体的な方法論が本書には惜しみなく提示されています。

例えば、多くのFX投資家が陥りがちな「損切りできない」という心理。本書では、損切りをいかに冷静に行うか、そして損切りをすることで次のチャンスへと繋がるという意識改革の重要性が説かれています。また、相場の過熱感に流されて高値掴みをしてしまうことへの警鐘、そして、資金管理の徹底がいかに重要であるかについても、自身の失敗談を交えながら具体的に解説されています。

特筆すべきは、本書が「夫婦で復活した秘訣」と銘打っている点です。投資は個人の判断で行われることが多いですが、夫婦という二人三脚で困難を乗り越えてきたからこそ得られた知見が、本書には詰まっています。夫が感情的になりがちな時に妻が冷静な視点を与える、あるいは、妻が不安になった時に夫が精神的な支えとなるなど、夫婦間のコミュニケーションや協力体制がいかに重要であるか、その生々しい体験談が語られています。これは、投資の世界だけでなく、人生における困難に直面した夫婦が、いかにして協力し合い、乗り越えていくかという普遍的なテーマにも通じるものがあります。

また、「FX自然道」では、具体的なテクニカル分析やファンダメンタルズ分析の手法が詳細に解説されているだけでなく、投資家としての「心構え」や「精神論」にも多くのページが割かれています。相場は常に変動し、予測不可能な要素も多い中で、いかにして冷静さを保ち、自分自身を律することができるか。そのためには、日常の生活習慣の見直しや、ストレスとの向き合い方、そして何よりも「謙虚さ」が重要であると説かれています。

60歳からのFX投資と聞くと、リスクが高いと感じる方もいるかもしれません。しかし、本書はリスクをゼロにすることはできないまでも、いかにしてリスクを最小限に抑え、精神的な負担を減らしながら、着実に資産を形成していくかという視点に立っています。一度は巨額の損失を出した高田さんご夫婦が、最終的に穏やかな投資生活を取り戻せたのは、まさにこの「FX自然道」という哲学があったからに他なりません。

本書は、これからFX投資を始めようと考えている初心者の方はもちろんのこと、すでにFX投資を行っているが、なかなか結果が出せずに悩んでいる方、そして、一度大きな失敗を経験し、再起を図りたいと考えている方にとって、非常に示唆に富む内容となっています。FX投資で資産を増やし、穏やかな老後を送りたいと願う全ての人に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

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