武士の起源を解きあかす─混血する古代、創発される中世 (ちくま新書) Kindle版 桃崎有一郎 (著) 武士はいつ、どこで生まれたのか?七世紀ものあいだ日本を統治してきた彼らのはじまりについては、実ははっきりとした答えが出ていない
かつて教科書で教えられた「地方の富裕な農民が成長し、土地を自衛するために一族で武装し、武士となった」という説はでたらめで、都の武官から生まれたという説は確証がなく、学界は「諸説ある」とお茶を濁す。この日本史における長年の疑問を解消するために、古代と中世をまたにかけ、血統・都鄙・思想に着目し、武士の誕生の秘密を明らかにする。
『武士の起源を解きあかす ──混血する古代、創発される中世』(筑摩新書)は、桃崎有一郎氏による2018年刊行の歴史書です。
武士は、日本中世を代表する階層であり、鎌倉幕府や室町幕府を築き、その後も日本の政治や社会に大きな影響を与えてきました。しかし、武士の起源については、これまでもさまざまな説が唱えられてきました。
桃崎氏は、これまでの説を検証し、武士は、地方の旧族と中央王臣家の結合から生まれたと結論づけています。
桃崎氏は、武士の起源を探るために、古代から中世にかけての史料を広範囲に調査しました。その結果、地方の旧族には、大陸から渡来した渡来系氏族や、古代豪族の末裔などが含まれていたことを明らかにしました。また、中央王臣家には、天皇や皇族の血を引く貴族たちが含まれていたことも明らかにしました。
桃崎氏は、これらの史料から、地方の旧族と中央王臣家は、平安時代初期から交流を持ち、互いに結婚や養子縁組を行うなどして、関係を深めていったと推測しています。そして、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて、この両者が結合することで、武士が誕生したと結論づけています。
桃崎氏の説は、従来の説を覆すものであり、大きな反響を呼びました。本書は、武士の起源を新たな視点から解き明かした、画期的な著作と言えるでしょう。
本書の特徴は、以下のとおりです。
- 武士の起源を、血統・都鄙・思想の3つの視点から考察している
- 古代から中世にかけての史料を広範囲に調査し、説得力のある論理を展開している
- 武士の起源を新たな視点から解き明かした、画期的な著作である